最強の戦闘機パイロット
- 作者: 岩崎貴弘
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/11/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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第1章では、戦闘機パイロットとしての日々の訓練、戦技競技会や米軍とのDACTなどの華やかなエピソード、第2章では戦闘機パイロットになるまでの訓練過程等、第3章ではスクランブルやアクシデントなど、戦闘機パイロットが直面する危険について、第4章では地上でのパイロット達の様子がそれぞれ描かれている。
エピローグでは、航空自衛隊を退官する際のエピソード、そして岩崎氏より現役戦闘機パイロットへのエールをもって幕を閉じる。
ご存じの通り、岩崎氏は航空自衛隊退官後にエアロバティックチーム「エアロック」を結成し、エアーショーパイロットとして活躍していたが、訓練中の事故で亡くなっている。「エアロック」自体も現在は活動を休止し、寂しい限りである。
F-86F、F-104J、F-15Jと機種転換していくうちに、人の技能が介在する余地がどんどん少なくなる事に違和感を感じ始めた岩崎氏。個人の技量で敵を退けるというのは日本人の習性なのだろうか。一方アメリカは個人の技量でなくシステムで勝とうとする。現在最強の制空戦闘機であるF-22は、レーダーに映らないというチート性能で敵に勝ち、現在最高の多目的戦闘機であるF/A-18E/Fは、E-2CやEA-6Bとデータリンクしながら、まさに群れで襲いかかるスズメバチのように群体で圧倒的攻撃力を発揮する。「レーダーに映らない」という不可能を可能にしてしまったF-22、「操縦しているよりコンピューターを操作している時間のほうが長い」F/A-18E/F、どちらも日本人には発想すら難しい存在だろう。その点、行きすぎたミサイル万能主義の反動としてドッグファイト性能を重視したF-15は、日本人にも分かりやすい最後の戦闘機なのかも知れない。
現代版「大空のサムライ」ですね。空自ファンなら押さえて当然の一冊でしょう。