楊令伝四 雷霆の章

「楊令伝」の第四巻。


方臘対童貫、燕京軍対趙安。南と北で大きな戦いが繰り広げられる。


童貫はいかにして方臘の何十万人にも及ぶ信徒、狂信者とも言っても良い者達を打ち破るのか…。童貫は「水滸伝」を読んでいた人にとっては懐かしく、しかもこの場面に実にふさわしい戦法を採用する。方臘の捨て身の行進によって一度は後退した童貫だが、それでも薄皮を一枚一枚剥いでいくように方臘反乱軍の戦力を削っていく様は流石である。「楊令伝」最大のクライマックスが楊令対童貫である(と思われる)以上、ここで童貫率いる宋禁軍が敗れるわけはないのだが、それでも方臘(と呉用)に勝って欲しいと思ってしまう。


呉用はますます方臘に傾倒してゆく。致死軍を率いる公孫勝呉用を救出に来たときも、余計な事と思ってしまう。その様子を見た公孫勝は救出を諦め撤収してしまう。呉用は無意識のうちに方臘反乱軍を死に場所と見定めたのだろうか。


一方、趙安と互角以上の戦いを繰り広げる燕京軍。新しい国を建てる夢は成るのかと思いきや…陰謀によって美しい夢が散らされるのは世の常だろうか。


ますます続編が気になる展開。第五巻は10月発売予定。