楊令伝六 徂征の章

楊令伝 6 徂征の章 (集英社文庫)

楊令伝 6 徂征の章 (集英社文庫)

「海棠の花、ついに泥中に臥す」
扈三娘、死んでしまうん?もっとも、前巻の帯も釣りだったからな…


南北の戦いを制した童貫禁軍。しかし、受けた痛手は大きく、損失を回復するためにはしばらく時間が必要となる。そして、その間に梁山泊は着実に力を付けていくのであった。


激しい戦いが終わったあとの巻なので、大きなエピソードは無い。しかし、聞煥章と扈三娘、「水滸伝」でも因縁がある二人の間に再び係わりが生まれる。


水滸伝」の時、扈三娘に対し想いを抱いた聞煥章。しかし、扈三娘は梁山泊へと去り、そこで結婚し子を授かった。それから幾年月、聞煥章は手の者として使っている呂英が攫ってきた扈三娘の息子を人質として利用し、扈三娘を虜囚とすることに成功する。


つなぎとして女がらみのアレなエピソードが入ってくるのだろうかと思っていたら、本当に入ってきたのでびっくり。積年の想いを遂げられた聞煥章なのだが…


他のエピソードとしては、呉用が格好良くなりすぎてて笑った。方臘反乱軍の時に、あまりに死を見過ぎたせいなのか…。「昔の呉用」みたいになって評判の悪い宣賛、超人のごとき楊令が抱える「人としての弱さ」なども描かれていて、一〜五巻での描写に対するフォローになっている。


童貫曰く「一年後には対梁山泊戦」とのこと。梁山泊対禁軍の戦いが終わったら、「楊令伝」も終わってしまうのだと思うが…。ハードカバー版では既に完結している物語だが、文庫版でしか読んでいない私にとっては、先が気になってしかたがない。


第七巻は12月発売予定。禁軍戦はもう少し先かな?