楊令伝十一 傾暉の章
- 作者: 北方謙三
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/04/20
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
梁山泊より遂に出立する商隊。この商隊が無事交易を成功させられるか否かが、梁山泊の行く末を左右する。楊令自らが黒騎兵を率いて商隊の警護に当たる。
他方、遂に李富と韓世忠が手を結ぶ。今までは裏の戦闘組織しか持たなかった青蓮寺が、表の軍隊を手に入れた瞬間でもある。自らの考える国家を造り上げようとする李富と、楊令の小さく纏まった梁山泊に失望と嫌悪を抱く韓世忠。何時の日か梁山泊、そして楊令の前に大きく立ちはだかる存在となるのだろうか。
西へ向かう商隊。途中で耶律大石と出会い、国の在り方について語る楊令。帝の存在しない国…梁山泊が新しいかたちの国として成立するためには、期せずして王となってしまうかもしれない耶律大石の国と、共存共栄していかなければならない。
金軍は中原に侵攻していくが、南宋の帝である趙構を討つことは出来ないでいる。そんな中、金軍の将軍として出撃していた、金国の先帝である阿骨打(アクダ)の庶長子である斡本(オベン)が金国に帰還すると言い出す。唐昇率いる軍を警護に付けて帰還しようとする斡本だが、岳飛率いる岳家軍に襲われて敗退してしまう。改めて、蕭珪材が警護について斡本を金国に送ろうとする。再び出てくる岳飛。岳飛対蕭珪材という、ある意味ドリームマッチが開戦するが、その結果は…
無事帰還した初の商隊は、梁山泊に大きな益をもたらした。そして秦明将軍の息子、秦容が遂に梁山泊に合流する。楊令や史進にも一目置かせる武術の腕を持つ秦容。これから軍の指揮者として頭角を現してくるのだろうか。
騎馬隊に与える馬の数が少ないことに悩む岳家軍が一計を案じる。何と、梁山泊の牧から馬を奪おうというのだ。計略が嵌り、馬を奪う事に成功する岳家軍だが、当然梁山泊軍との戦闘になり…
久しぶりに梁山泊軍の戦闘場面などもあった十一巻。梁山泊の運営もそれなりに順調な一方、永遠の宿敵たる青蓮寺もますますその陰謀を進めようとしている。金国、岳家軍、その他の勢力などもあり、行く先はまだ見えない。
第十二巻は5月18日発売予定。楽しみである。