佐保姫伝説

佐保姫伝説 (文春文庫)

佐保姫伝説 (文春文庫)

阿刀田高さんの、12編の短編からなる短編集。


「儚い夢、おぼろげな記憶。人生をすくいとる大人のメルヘン短編集」


メルヘン、だったかなぁ…。
読んでいて思ったのは「死の影」である。1935年生まれの作者にとって、もはや死は遠い未来の話ではないだろう。登場人物の平均年齢も、総じて昔より高めである。
他に「大人の男の分別」「女性心理は謎」といったキーワードが浮かぶ。


正直、今回の短編集も切れ味が今ひとつ。オチが今一だったり、「これオチてないやろ!」と突っ込みたくなるような結末だったり。過去の短編が素晴らしい作品揃いだったので、それらと比べるとちょっと…。


阿刀田先生には、是非とも長編の新刊を期待したい。