一目惚れの科学

恋愛を「進化政治学」の立場から解き明かす本。


恋愛は、詩や歌や絵画や文学といった幾多の芸術を生み出してきた。恋愛こそが、人の精神を美しく高潔なものにするのだ…
とかそういうのは置いておいて「恋愛ってのは遺伝子を残すための生殖を目指す活動でしょ」という立場から、どんな人が異性にとって魅力的に見えるのかを解説している。


この本で繰り返し語られるのが「シンメトリーな体型の持ち主はモテる」である。左右対称の身体を持つ人は、イケメンで風邪をひきにくく体脂肪率が低くて体格に優れ良いにおいがして良い声を持っている、つまり優れた遺伝子の持ち主なんだそうだ。


あと、現在は気候が温暖なので、もともと温暖な地域に住んでいた縄文系遺伝子の持ち主が(いわゆる濃い顔の人達ですね)モテるのだとか。現在モテない人達は氷河期の到来を待ちましょう。


遺伝子的には残念な人達に、もはや希望はないのか…否。


男なら将来の夢を語れ。女性は夢に弱いから。それに過去や現在と違い、将来に関してなら身分不相応なBIGな事を騙る…語る事が出来る。芽の出そうにないミュージシャンもどきに引っかかる女性の多さを考えれば、ご納得頂けるのでは。


女なら男を吊り橋に連れて行け。有名な吊り橋効果(ゆれる吊り橋での興奮状態と恋愛の興奮状態を混同するというアレ)だが、男に対しては効果覿面でも女性にはそれほど効果が無いのだとか。


遺伝子的に優れた人は労せず、遺伝子的に劣った人は多大な苦労をしてパートナーを得たとして、そのあともまた大変。性行為は女性にとっては関係の始まりだが、男性にとっては終わりの始まり…だとか。男性より女性が先にオーガズムを感じると妊娠しにくいとか(つまり早漏最強ですね)、精子には受精を目指すエッグゲッター・別の精子の進入を防ぐブロッカー精子・他人の精子を見つけて撃退するキラー精子の3種類あるとか、いろいろ驚かされる。


そして、夫や妻を一生愛し続けることは出来ない(血縁関係の無い他人ですから)が、子どもは一生愛し続けることが出来る(自分の遺伝子を継いでくれる存在ですから)。「子はかすがい」どころの話ではない。


ある意味、身も蓋もない本。だが、それが良い!と思えるなら、是非。