海兵隊コルセア空戦記

海兵隊コルセア空戦記―零戦と戦った戦闘機隊エースの回想 (光人社NF文庫)

海兵隊コルセア空戦記―零戦と戦った戦闘機隊エースの回想 (光人社NF文庫)

第二次世界大戦におけるアメリ海兵隊の偉大なトップエース(28機撃墜)、グレゴリー・ボイントンの回想録。フライング・タイガーズへの参加、海兵隊への復帰、VF-214「ブラックシープ」編成、大活躍と被撃墜、日本での捕虜生活…


読んでいて「日本はこんなふざけた野郎と戦争して負けたのか」と思わされた。酒癖が悪く、細けぇ規則とそれを振りかざす上官を相手にせず、過酷な運命をもシャレのめしてしまう。いかにもアメリ海兵隊員らしいキャラクターの持ち主である。


酒の席で負傷しデスクワークに廻されるも、増援部隊の到着が遅れていることを良いことに、あぶれ者のパイロットと訓練用に回されていたF4Uコルセアをかき集めてVMF-214飛行中隊「ボイントンの厄介者集団」(後の「ブラックシープ」)を自ら結成してしまう。そこからどんどんスコアを伸ばすが、零戦に撃墜され、漂流しているところを日本の潜水艦に救助され捕虜となる。


捕虜生活のあいだは充分な食事が得られずひもじい思いをしたようだが、当時の大部分の日本人も同じような状態である。日本人に対する評価は、意味もなく捕虜を殴りつけるような理不尽な人物もいたが、その一方で穏健かつ常識的な対応をする人物もいたというように、「日本人は野蛮な連中」などと画一化せず、あくまでフェアである。


生活態度は不埒でも、祖国や戦友や任務に対しては真摯に接する男である。こういう男がいて、こういう男を活躍させることが出来るアメリカ軍に、日本軍が勝てるわけがないよな…と思ったのだった。