ガールズ&パンツァー(文庫版)3


TVアニメ「ガールズ&パンツァー」のノベライズ第3巻。


第2巻までは、あんこうチームの通信手にして恋と結婚とイケメンに憧れる武部沙織ちゃん視点で物語が進んでいたが、今回は砲手の五十鈴華や操縦手の冷泉麻子視点による、対黒森峰戦前夜のエピソードが挿入されている。


戦車道全国大会決勝戦前夜。必勝祈願のトンカツパーティーも和やかに終わり、明日に備えて解散したあんこうチームの面々。華は何となく秋山優花里を自分の部屋に招く。砲手としての自分に何か物足りないものを感じている華。そんな華に、優花里はオンライン対戦の出来る戦車ゲームをやってみることを薦めるのだった。


一方、朝に弱くて夜に強い麻子は、朝早く起床しなければならない明日の決勝戦に備え、ソド子協力のもと「早く起きられないなら、早く寝ればいい」作戦を実行する…のだが、なかなか寝られず、身体を疲れさせて早く寝る作戦に出る。夜の学園艦をジョギングする麻子とソド子。そこで二人が見たものは…


上記のエピソードは、2巻完結予定だった文庫版がTVアニメ11話及び12話の放送延期に伴って3巻まで引き延ばされたことによる追加エピソードだと思われるが、3巻のおよそ3分の2を占めている。華のキャラクターの掘り下げや、麻子とソド子の心の交流、また戦車ゲームにあの人が現れたりと、なかなか趣深いものとなっていて延長万歳である。


クライマックスは沙織視点の対黒森峰戦。TVアニメからはだいぶ改編されているが、これはこれで有りだろう。小説版ならではの利点(視点を沙織視点に限定し黒森峰視点を無視できる)と制限(TVアニメ放映後なのでマウスの存在がサプライズにならない)を上手に使った良い改編だと思う。


それから、あるキャラに関する重大な改編もあるのだが…これは良かったのか悪かったのかちょっと判断出来ない。気になる人はぜひ読んでみて、判断して欲しい。


沙織視点で試合をなぞるだけだったら、ちょっと物足りなかったかも。TVアニメ放送延期のお陰で尺に余裕が出て、エピソードに膨らみを持たせられたのはとても良かったと思う。


と言うわけで、ガルパンを楽しく見ていた人には間違いなくお薦めです。