エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ

エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ (講談社文庫)

エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ (講談社文庫)

フジテレビの露骨な韓流ごり押しと、フジテレビ擁護派の論理破綻に対してのツイートが話題になった深水黎一郎氏の著作。


有名な画商が、自分の部屋で、胸にナイフを突き立てた状態で死亡していた。しかしその部屋は鍵が掛かった密室となっており、窓の閂には被害者の血がべっとり付いている。犯人はいかにして部屋から出たのか…?


死んだ画商の愛したエコール・ド・パリ(パリ派)と呼ばれる画家達とその作品。画商が彼らを題材にした著書「レザルティスト・モウディ(呪われた芸術家たち)」と、事件の捜査に関する記述が絡まり合い、結末に繋がっていく。


現在において、犯行方法に関するトリックというのはすべてが既に書かれてしまっていると言われている。今や、ミステリーの謎解きは、彼もしくは彼女がいかなる動機で犯行を犯すに至ったかを説明する方に、スポットが当てられる事が多いだろう。


前半は読んでいてかったるかったのだが、読み進める内に面白くなってきて、謎解きに至って「嗚呼…」と納得してしまった。「呪われた芸術家たち」を呪われた存在にしたのには、画商にも一端の責任があり、そしてそれは単なる昔話ではない…芸術の素晴らしさと、美術品売買につきまとう胡散臭さが交差した場所で起こった悲劇。


謎解きは納得がいくし、さりげなく問題提起も出来ています。流石あのツイートは伊達じゃないと思わせる出来映えです。是非ご一読を。