楊令伝十三青冥の章 - 遠き青空を見上げて

金国の建てた傀儡国家、斉。漢族が君臨し、漢族が行政を執行し、漢族が護るこの国を利用して金国は大多数の漢民族を統治しようとしている。一方、傀儡の帝である劉豫、扈三娘の兄である扈成、そして旧宋禁軍の将軍である張俊は、金国の影響を脱して真の漢民族による国家となるべく布石を打っていく。

帝を建てたものの今だ基盤が弱い斉を安定させるため、岳家軍に襲いかかる金国軍。しかし、逆に打ち破られ、総帥の完顔成は責任を問われて任を解かれる。新しい総帥に任命されたのは兀朮だった。

交易による莫大な富を得た梁山泊。天下を伺うことが出来るかも知れない。しかし、天下とはなんなのか。かつて、宋を倒す、童貫を倒すという目の前の目標のために一致して闘った同士達だが、天下という途方もないものを前にして、それぞれの想いがすれ違っていく。

軍を回復するために領内に過酷な税を課した岳飛。軍の体裁を整え、金国軍を２度に渡って撃退するが、一方で民は貧困に苦しみ領土が荒廃する。軍が無ければ領土が侵される。しかし、軍を維持するために民が貧困にあえぐ。二律背反を解決できず苦悩する岳飛。

金国はついに蕭珪材を出撃させ、岳家軍を叩こうとする。１万２千の蕭珪材軍にたいし、３万の多勢で立ち向かう岳飛。お互いの兵を大きく損耗させた二人が最後に選んだ決戦の方法は…

青蓮寺において、李富に次ぐ立場であり、李富の後を継ぐ存在である赫元。梁山泊致死軍が捕らえる事に成功するが、青蓮寺の羌肆軍に包囲されてしまう。包囲を突破し梁山泊へ走る戴宗。かつて、王定六が命を賭して商隊の危機を救ったように、戴宗も致死軍を救うことが出来るのか…

花飛麟より、岳飛が梁山泊内に進入したことを知らされる楊令。養子の岳雲と二人きりで梁山泊内を見物して回っている岳飛に楊令が会いに行く。国について、民について、天下について語り合う二人。その中で、岳飛は今の領土を明け渡して南宋に合力することを打ち明ける。

大型船の奪取、離間の計。青蓮寺は様々な工作を梁山泊に対して進めていく。「水滸伝」の第一巻から始まった梁山泊対青蓮寺の戦いは、宋という国が無くなっても終わることはない。そして、ついに梁山泊を裏切る者が現れる。

第十四巻は７月２０日発売予定。後２巻…