艦これについて その3

2015夏の大規模イベント「反撃!第二次SN作戦」が幕を切った…が、仕事が多忙を極めそれどころではなかった。ただでさえ様々な業務があるのに、その他に特別な業務まで抱えることになり、重責と困憊に打ちのめされた。残業の他に休日出勤までしないととても追い付かず、心の支えである艦これにもなかなか時間を割く事が出来ない。
そして、本来なら安らぎであるはずの艦これも、大規模作戦というプレッシャー、そして運営が設定を間違えてしまったのでは無いかという難易度で、苦悩の種となってしまっていた。
いろんな意味で精神的に追い詰められ、駅で電車がホームに入ってくるたび、いっそのこと…という思いが頭をよぎった。


そんな中のとある日、ふと吸い寄せられるように靖国神社内にある遊就館へと立ち寄った。零戦や彗星を見学し、そして特攻で散っていった若者達の遺書が集約展示されている場所へ辿り着く。死ぬこと以外の全ての選択肢を剥ぎ取られてしまった人達の、大いなる無念の集積場所。遺書を読みふけっているうちに、ある思いが湧き上がってきた。


(…そうだ…)


(自分は仕事から逃げることが出来る。仕事を辞めてしまえば、いつかは経済的な理由から生きていけなくなるかも知れないが、それは今じゃない。本当に生きていけなくなるまで生きていればいい。)


(特攻に赴かされた彼らは、死ぬ事を強いられ、それ以外の道を全て閉ざされてしまった。それに比べれば自分に課された責務など比べるべくも無い軽さだ。私は弱い人間だけれど、弱いなりに耐えられるまで耐えて、本当に耐えられなくなって放り出したくなるまで耐えてみよう。)


確定した死を強いられる苦痛に比べれば、大抵のことはどうという事はない。そう、どうって事はないのだ。
それに、いざとなったら放り出してしまえば良い。そう思ったらまるで気が楽になった。


そしてもう一つ、勇気を与えてくれる出来事があった。


有り得ない装甲の固さで提督達を絶望させていた「反撃!第二次SN作戦」のE7ラスボスだが、ある男がラスボスを弱体化されるギミックを発見したのだ。その男自身は既にE7をクリアしていたにも係わらず、検証の為に再びE7に挑戦したのだ。
それは絶望の淵に沈んでいた提督達にとって光明だった。大いなる希望だった。私はその英雄的行為を目の当たりにし、感動のあまり涙した…


…ああ、生きてさえいれば、これからもこんな素晴らしい出来事を目撃することが出来るかもしれない。だったら、生きねば。


自分自身はプレイ時間を充分に取ることが出来なかったため、最終的に丙作戦を選択したが、それでも弱体化ギミックを利用しなければクリアが危うかったかも知れない。のちにビッグセブンと称される彼には、本当に感謝としか言いようがない。


「反撃!第二次SN作戦」が無事終わり、仕事の方も大きな山場を越え、私はいろんな意味で一山を越えた。