鈴木敏文の「話し下手でも成功できる」
- 作者: 勝見明
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2010/05/21
- メディア: 単行本
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タイトルの「話し下手でも成功できる」はあまり内容とは関係無いと思った。なぜなら、鈴木氏はこの本の内容を見る限りでは話し下手ではないからだ。むしろ巧言令色の少ない、大切な事をきちんと伝えるタイプの話し手のように思える。
面白いと感じたのは、人は「100の利得」より「100の損失」を二倍大きく感じてしまうという事。「プロスペクト理論」と呼ばれるそうで、ダニエル・カールマン博士という心理学者が数々の実験を元に提唱した理論だとか。この理論ゆえ人は挑戦して失敗する事を恐れ、保守化してしまう。
しかし、短期的には挑戦して失敗した事を後悔するが、長期的には挑戦しなかった事の方をより深く後悔するとも。某ネットラジオで、能登麻美子さんが女の子に告白すべきか否かを悩むリスナーに対して「告白した方が良い、絶対に!結果的にうまく行かないかも知れないけど、告白しなかったっていうのは、一番後悔しちゃうと思う。後々、五年とか十年とか経っても残っちゃうと思う。」と力説していたのが思い出される。…何の話しだ?
購買活動について、顧客は自分の選択について「納得できる理由」を求めていて、顧客に対して「選ぶ理由」を提供する事が事業者の使命であると説いている。そしてその「納得できる理由」「選ぶ理由」がえてして理屈ではなく感情に基づく事が多いとも。何せ「人間は感情の動物」なのだから。
但し、ここで言われている「顧客」とは「消費者」の事で、対企業の取引では感情のウェイトは下がるであろう事は留意しておきたいと思う。
それから、「権限委譲」と「丸投げ」の違いについても説かれている。
上に立つ人間が明確な方針を示した上で、個別の仕事については部下に自由にやらせる。部下が壁にぶつかっていたら乗り切るための提案をし、突破の手助けをする。挑戦をさせ、仮に失敗しても、結果責任はすべて上司が負う。これが権限委譲。
上記を怠りすべてを現場の担当者に投げてしまうのが丸投げ。
上司たるもの、その部署が携わる業務に関しては一通り理解し、その上で指示を出さなければそれは丸投げに過ぎない。全てを完全に理解するのは一個人の限界があるので無理だと思うが、ある業務に対しての作業量を査定したり、その業務が有用か否かを判断する際には、一定以上の見識は必要だと思う。自分もそういった見識を養いたいものである。
上記以外にも、小売業に携わる人には有用な情報が多い。小売り関係に従事する人は、まずはセブンイレブンで立ち読みして面白いと思ったら購入してみては。
…あと、顧客を大切にするのはとても重要な事だが、従業員を大切にする事も重要なことだと思います。