MC☆あくしず Vol.19

MC ☆ あくしず 2011年 02月号 [雑誌]

MC ☆ あくしず 2011年 02月号 [雑誌]

軍ヲタと萌えヲタの二重苦を抱えて生きる駄目紳士にとって、年に4度のお楽しみである"肌色系軍事雑誌"(本誌表紙の煽り文句より)。最新刊を書店で見かけたので即購入。表紙は重戦車工房さんが描いた「姫騎士・スピットファイア」さん。


今回の巻頭特集は「英独姫騎士たちの航空決戦!バトル・オブ・ブリテン」。戦史上もっとも有名な航空決戦である「バトル・オブ・ブリテン」の経緯や参加機体を紹介している。


主役は当然スピットファイア。表紙にも登場している「姫騎士・スピットファイア」として擬人化されている。気品と優雅さに溢れた姿は、実機の優美なイメージとぴったり。もう一人の(一機の?)主役、ハリケーンは実機の古めかしい機体構造から、ちょっと素朴なブリティッシュ・カントリー・ガールとして擬人化。これまた実機の少しイモ臭い雰囲気にぴったり…


しかし、ドイツ空軍の偉い人(げーりんぐ)の頭がアレだったおかげで、イギリスは勝ちを収めることが出来たのね…。航空基地を叩きのめし、英空軍を崩壊寸前まで追い込んでいた独空軍。しかしある日、夜間爆撃に出撃した独爆撃機がロンドンに誤爆し、それに対する報復としてチャーチルの指示によりベルリンを目標とした爆撃が行われる。「ベルリンが空爆されることなどあり得ない」と公言していたゲーリングは大恥をかく。面子に拘ったゲーリングはそれ以降、攻撃目標を英空軍航空基地からロンドンに変更する。これによって英空軍は戦力回復の機会を得、最終的には独空軍を退けたのだ。上層部が面子にこだわり正常な判断が出来なくなった組織は悲惨である。独空軍のように、そして今そこにある企業のように現場の人間が大変な痛手を被る事になる。


連載物では「フロントラインテイルズ」が良かった。スターリンによる西ベルリン封鎖の際、西ベルリンを救うべく物資を空輸したアメリカ。その空輸作戦に従事したパイロットが「お菓子にハンカチのパラシュートを付けてばらまく」事を思いつく。この行動に多くのパイロットが同調し、ラジオで報道されると、ハンカチが寄付されたりお菓子メーカーが協力を申し出たりして、しまいには軍の公式な作戦行動となる…。良いと思えることは何でもやろうとするアメリカ軍というのは本当に凄い。また、長谷川竹光さん描くょぅι゛ょはとても可愛い。ベルリン封鎖の際に幼女だった登場人物が、老婆となった今でもパラシュートの白いハンカチを大切に持っているシーンでこの話は終わりになる。


ワールドバトルフィールドサテライトで紹介された英護衛空母「オーダシティ」の話も凄い。元々ドイツ船籍の貨物船「ハノーヴァー」が英海軍に拿捕され、しばらく「シンバッド」と改称され貨物船として使用された後、上部構造物をとっぱらい飛行甲板を張り付けただけの護衛空母「オーダシティ」に改造。格納庫もエレベーターもないので搭載機は露天係止されたグラマンF4Fが6機だけ。が、空母を持たないドイツ相手には充分役に立ったようで、それが逆にドイツ潜水艦の最優先ターゲットとされる原因となる。最期はUボートによって撃沈されるのだが、元ドイツ船籍だった船がドイツの軍艦によって撃沈されるとは、まさに皮肉である。擬人化イラストも、萌えメイドさんの「ハノーヴァー」さんが誘拐され「シンバッド」と改名されてご奉仕させられて、さらに着衣(=上構)を引っぺがされて護衛空母「オーダシティ」に改造された彼女が迫り来る魚雷に怯えるという凄い内容である。特に、魚雷に怯える「オーダシティ」さんの顔が、萌えるというより鬼気迫る感じでちょっと怖い…


「ばとしす」は今回休載。長門萩野ちゃんに2号連続で逢えないとは…


今回も納得の内容。駄目紳士諸兄は本誌を見かけたら即手にとって迷わずレジへゴー!