自衛隊エリート・パイロット

自衛隊エリートパイロット 激動の時代を生きた5人のファイター・パイロット列伝 (ミリタリー選書 22)

自衛隊エリートパイロット 激動の時代を生きた5人のファイター・パイロット列伝 (ミリタリー選書 22)

航空自衛隊の創設期から現在までを、F-86F・F-104・F-4EJ・F-1・F-15といった航空自衛隊の歴代戦闘機を操縦していた5人の元バイロットの証言によって時代毎に振り返る本。


F-86F編は、まさに航空自衛隊創設時の話。T-33、そしてF-86Fといった初期のジェット機を導入するさいの話が書かれている。本題とは少しずれるのだろうが、ミグ25亡命事件についても少し取り上げられている。


F-104編には、あと少しで緊急事態になるような状況に追い込まれた際の事が書かれている。さすがウィドウメーカー(未亡人製造機)と言われた機体だけある。


F-4EJ編は、オーバーGを起こしボディに皺の寄ってしまった機体が次の日に直ってしまった話が興味深かった。かつて、日本車がドイツ車を目標にし、ボディのねじり剛性で数値上同等な剛性を確保したが、ねじりを加える機械から外された日本車のボディはねじれたままだったのに対し、ドイツ車は自己復元してしまった話を思い出した。空飛ぶダンプと呼ばれるだけあって、強靱なボディを与えられていたのであろう。


F-1編は、退役してから公言されるようになった「F-1は残念な子」という話がここでも言及されている。求められた能力はマルチロールファイターのそれだが、制空戦闘機としては使い物にならず、攻撃機としてもチャフ・フレアディスペンサーやECM機器等の防衛手段を持たず、おそらく戦場に投入されたら役に立たなかったであろうF-1。練習機以上、実戦機未満といったところが妥当な評価だろうか。そんなF-1でも何とか使いこなすべく工夫するパイロット達の姿が描かれている。


F-15編は、テストパイロットがF-15導入任務に従事した時のエピソードが語られる。その他、テストパイロット時代のお話やチャック・イエーガーに会った時の話などが語られる。


実際にその機体を操ってきた人達の証言だけあって、興味深い内容です。空自ファンなら是非。