楊令伝五 猩紅の章

楊令伝 5 猩紅の章 (集英社文庫)

楊令伝 5 猩紅の章 (集英社文庫)

「天地に轟く、民の叫び。呉用、江南の地で屍になる」
おいおい、帯でいきなりネタバレかいな…


遂に梁山泊軍が積極的に攻勢に出る。以前のように拠点を点在させるのではなく、一定の地域を支配下に治め、「とにかく、国を作る。そして、その国を守るための戦をする」と宣言する楊令。


一方、推戴すべき帝を失い瓦解する燕京軍。生き残った2人の将軍のうち、耶律大石は燕京を離れ、蕭珪材は軍を解散させる。耶律大石と蕭珪材がお互いに別れを告げるくだりは非常に美しくも切ない。
目的も行く宛ても失った蕭珪材だが、旧遼の「護国の剣」を所持し、また楊家に縁のある者として、相応しい場所に身を寄せることとなる。


南では、方臘反乱軍対童貫宋禁軍の戦いがますます激しくなる。何十万人もの信徒達を殺戮し続けるうちに、戦いに倦みますます荒んでいく童貫軍。呉用の用いたトリックにより童貫軍は大打撃を受けるが、岳飛の大活躍により最悪の事態は免れる。


そして、最終決戦へ。ここで童貫は、かつて方臘が自分を退けたときに行ったことを自らも行い、戦いを制する。


方臘の元を離れがたくなっている呉用を保護すべく、梁山泊からの迎えが訪れる。方臘から死ぬことを禁じられ、不本意ながら生き延び、不本意ながら梁山泊に帰還することを選択する呉用。…あれ、帯のあおりと違っているような?


南の戦いも終わり、楊令伝前半のエピソードに一区切りが付いた形である。
この後は話がどう続いていくのかと思ったら…燕国建国の夢破れて失意の中にあった聞煥章の元にとんでもないものが届けられる。つなぎとして女がらみのアレなエピソードが入ってくるのだろうか。


第六巻は11月発売予定。今から楽しみである。