楊令伝七 驍騰の章

楊令伝 7 驍騰の章 (集英社文庫)

楊令伝 7 驍騰の章 (集英社文庫)

「楊令伝」の第七巻。


遂に梁山泊軍対禁軍の戦いが始まる。それは小さな遭遇戦から始まり、徐々に、徐々に大きくなっていく…


禁軍ナンバー2に上り詰めた趙安。童貫のような自在さは無いが、異常な粘り腰を持つしぶとい軍人である。梁山泊軍は、じっくりと構えた戦いを得意とする趙安に対し、構える前に一気に決着を付ける作戦で挑む。梁山泊軍の将軍、呼延灼の読みや、今だ不安定な北の情勢により追いつめられる趙安。呼延灼対趙安、古強者同士の戦いの決着は如何に。


「童貫を倒せば勝ちだ。その為には楊令を守ろうとするな。」と言い切る呉用。童貫が死ねば禁軍はお終いだが、楊令が死んでも志を持つ他の者が梁山泊を背負って立つ、それが宋禁軍と梁山泊の違いだと。それにならった訳ではないだろうが、呼延灼の息子である穆凌は、自らの身を危険に晒してでも、趙安を討つ機会を逃さなかった。穆凌が危険を顧みず突撃した時、父である呼延灼が取った行動とは…


「楊令伝」では「水滸伝」に登場してくる人物の子弟が活躍している事が多い。そんな中で、実の親子が同じ戦場に出るという、ちょっと珍しい展開になっているのが第七巻。それゆえか、「父と子」の関係に、より一層の脚光が当たっているように思える。息子を持つ父親だったら、呼延灼の如くありたいと思うのだろうか。


人材が払底してきた禁軍に対し、梁山泊軍はまだまだ魅力的な人物がいっぱい。それらの人物が、童貫に、岳飛に討たれていくのだろうかと思うとちょっと残念である…。


楊令と童貫の直接対決はもう少し先なのだろうか。第八巻は年明けの1月発売予定。