世界の名機シリーズ Su-27 フランカー

Su-27 フランカー (世界の名機シリーズ)

Su-27 フランカー (世界の名機シリーズ)

最も美しいジェット戦闘機(と勝手に思っている)Su-27。優美な機首、伸びやかな翼、独特の美しい迷彩(寒色系に限る。暖色系の迷彩はちょっと…)。素晴らしい戦闘機である…仮想敵国の機体でなければ。


お値段は急に高くなって2,000円(税込み)。以前に購入した「ユーロファイター タイフーン」が税込み1,500円だったので、500円もの価格差である。もっとも、ページ増(タイフーン82頁、フランカー114頁)、そしてなにより題材が取材の大変な東側の機体なので、致し方ないかも。


内容はフランカーバリエーションの空撮、ポストストール機動を始めとしたフランカーの飛行性能の紹介、機体各部の説明、装備可能な武装、そして複雑怪奇なフランカーバリエーションの各タイプ解説、開発ストーリーなど。さらにおまけ?でPAK FAことT-50の記事まで掲載されている。


個人的に、フランカーは単座のカナードが無い形式が一番格好良いと思っているので、最新型のSu-35Sが単座、カナード無しになったのはちょっと嬉しい。ハセガワからプラモが、アルジャーノンプロダクトから箱玩が出たら嬉しいのだが、取材のしにくさや人気(やはり日の丸機体とは雲泥の差だとか)の点で難しいかな…


武装に関しては、西側のミサイルや爆弾と比べた場合、独特の無骨さを感じてしまう。空対空ミサイル達は、安定翼がいっぱい(R-73)、操舵翼が独特の逆テーパー翼(R-27)、操舵翼がすのこみたい(R-77)など、外見が非常に個性的である。見た目に反して?性能は優秀らしいが…。レーザー誘導爆弾も西側のGBUシリーズのように洗練されておらず、なんとも野暮ったい。


機体自体も、美しい外観はさておき、レーダー整備のさいにはレドームを上に跳ね上げる(…西側の機体みたいに横じゃ駄目なの?)、横側にどーんと突き出す空中給油用プローブなど、西側戦闘機を見慣れた目からは不思議な点もちらほら。


分かりづらいと評判のフランカーバリエーションだが、見やすい表を交えて丁寧に解説している。バリエーションが分かりづらいのは、ソ連→ロシアが一時期非常な財政難に陥って開発が滞ったこと(本国仕様が更新出来ない間に、外国に性能向上型を販売したりなど)と、スホーイ設計局が名前をいい加減に付けること(カナード付きの試作機と、アヴィオニクスを大幅に更新した最新版の両方にSu-35と名付けてしまうなど)に拠るらしい。


あとは、様々な迷彩の一覧と解説があれば良かったのだが…モデルアートプロフィールのような模型用資料とは違うので、必要無いと言えば必要無いのかも知れないが、読み物としても面白いので是非入れて欲しかったところ。


Su-27が好きな人は当然買いでしょう。「世界の名機」シリーズ自体がヌルヲタ対象なので、私みたいな「フランカーのバリエーションってよく分からない」なんて人には大変お薦めです。それから殲-11はこっちに来ないで下さい。