スクランブル イーグル生還せよ

イーグル生還せよ―スクランブル (徳間文庫)

イーグル生還せよ―スクランブル (徳間文庫)

スクランブル」シリーズ最新刊。ストーリー的に「尖閣守護天使」と直接繋がっています。


今作の主人公は鏡黒羽である。F-15Jイーグルが大好きだけど戦闘機パイロットにはいまいち向いていない風谷修は、鏡の引き立て役に過ぎない(作者はどんだけ風谷に冷たいんだ…)。


秋月玲於奈という芸名で女優活動をしている黒羽の双子の妹、露羽に忍び寄る魔の手。黒羽がある事情で妹の露羽と入れ替わり、秋月玲於奈になりすましたところを北の工作員に襲われて拉致され、コンテナに閉じこめられてしまう。


日本の非政府組織「平和の翼」が「インフルエンザが流行っている北の国に援助するワクチンを運ぶ」という名目でチャーターしたボーイング767"ピースバード"にコンテナごと載せられる黒羽。彼女は何と、北の国の将軍様に捧げる貢ぎ物として拉致されたのだ。運良くコンテナから脱出できた彼女だが、飛行機という閉鎖空間の中では逃げることも出来ない。黒羽の絶望的な脱出行が始まる…


スクランブル」シリーズの売りはF-15Jの描写だったはずだが、今回はボーイング767が事実上の主役機。黒羽がボーイング767のコントロールを奪ってからの脱出行は迫力満点で大いに燃える。ストーリーは一気にクライマックスに駆け上がっていくのだが…ある意味「スクランブル」シリーズらしいオチが付く。今回ぐらいはスカッと爽快に決めて欲しかった…。ストーリーの進行も、ややご都合主義な点が散見されたのはマイナス。


帯に「超人気シリーズ堂々完結!」などと謳っているが、このまま終わったら中途半端すぎるでしょう。風谷はヘタレを克服できるのか、漆沢はいつ部隊に戻ってくるのか、「牙」との因縁は…まだ書き残したことがいっぱいあると思うのだが。